REPORT

第75回名大カフェ〝Science, and Me” 対話ロボットを通じて人を知る 〜無料オンライン開催〜

講師:小川 浩平 名古屋大学大学院工学研究科 准教授 レポーター:
講師紹介

小川 浩平
名古屋大学大学院工学研究科 准教授

愛知県名古屋市出身。名古屋大学大学院工学研究科 准教授。
これまでに20種類近いロボットの開発を手掛ける。代表的な作品の一つにオーケストラを指揮するロボット、「Alter」がある。
また近年、法話を行う「アンドロイド観音マインダー」も注目を浴びている。

ロボット研究、目的は「人間を知る」こと。

小川先生の研究の目的はロボットを作ることではなく、ロボットの存在を通じて「人間の対話とは何か」、「そもそも人間とは何か」を知ることにあるそうです。

工学分野の博士でありながら哲学的な考察も深めていらっしゃる先生は、稀有な才能を感じさせます。

ロボットとは。そしてアンドロイドとは。

ロボットの定義は非常に広く、工業用のアームロボットのようなものから、人らしい形のものまで含みます。

ロボットの中でも、人に非常に近い見た目をしたものがアンドロイドと呼ばれています。

パラレルに進むアンドロイド研究

小川先生が開発されたアンドロイドは、大きく3グループに分けることができます。

まずは、自律性ゼロで遠隔操作型の「ジェミノイド」。

そして、言語以外の機能は自律した「ミナミ」。

最後は、完全自律型の「エリカ」。

自律性がアンドロイドの良し悪しを決めるわけではなく、3グループそれぞれに異なる役割が与えられており、パラレルに研究を進めているそうです。

アンドロイド開発の最前線で見えた課題。

ミナミは、自律して人間らしく振る舞うフィールド実験に成功した一方で、エリカの開発には依然難しさが残るそうです。

小川先生は、音声認識の精度や対話破綻の問題など、言語面で見えてきた課題に様々な角度からアプローチし、特定の状況下ではエリカを使った会話実験に成功しました。

人間の対話とは何か

研究を通じて、「相手との文脈情報の共有」を対話の重要な要素として位置付けた小川先生。

その文脈共有のためには、人間の「想像力」が必要になると言います。

そして、先生は人間が対話の中で想像力を使って足りない情報をポジティブに補完することに着目しました。

「対話の要素を抽象化することで、より良いコミュニケーションをとれるのではないか」という仮説の下、更なる研究をしています。

「想像力」を掻き立てるロボット

その仮説の下で作られたのが、抽象的な見かけを持つロボットである「Alter」、そして「アンドロイド観音マインダー」です。

情報の空白を人間にポジティブに補完させることで、それぞれ音楽をより美しく魅せること、宗教的メッセージをより強く伝えることに成功しました。

ロボットと人間の想像力を掛け合わせることで生まれる可能性が注目を浴びています。

アンドロイドの存在を通して、人間の対話を、存在を見つめなおす。独自の視点から「人間とは何か」を紐解いていく小川先生のご活躍から今後も目が離せません。

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